蒲生の池・蒲生の池公園

 山鹿市北東部、三玉地区、蒲生にあるため池。面積8.8ha、総貯水量50万t で、用水のため池として県内最大のものといわれます。以前は、干ばつが続くとすぐ水不足になっていました。そのため不作が多く年貢米にも事欠くありさま。見かねた当時の山鹿郡中村主永が総庄屋兼代官遠山弥二兵衛が、この惨状を救おうと藩主に陳情し、ため池築造の許しを得たのは安政2年(1855)のことです。工事は、遠く内田川から4km余りの水路を掘り、さらにその間には1kmのトンネルをくり抜くなど、当時としては難工事でしたが、安政4年(1857)遂に完成。いよいよ池に水を注ぐ時は、遠山夫妻は白装束で堤防に座り、万一工事が失敗となれば切腹も覚悟していたといわれています。以来130年余り、とうとうと流れる池の水は下流集落の300町歩にも及ぶ水田を潤しています。今も人々はその偉業をたたえ、毎年遠山神社祭を行っています。周辺は公園として整備が進み、グラウンド、遊歩道、芝生広場などがあり、市民の憩いの場になっています。駐車場、トイレも完備してます。また、池の南側には、その数300を超える大横穴群「湯の口横穴群」があります。